私たちが良く知っているホルスタインは主に乳を搾る為に飼われるので、『乳牛』と呼ばれていますが、その他に、『肉牛』、ものを引いたり、運んだりする仕事をしてもらう為に飼われる『使役牛』などがいます。
又、乳牛にも、乳の量が多い牛や、乳に含まれる脂肪やたんぱく質が多い牛など、種類によっていろいろな違いがあります。
チベットやモンゴル、アフリカなどの国では、昔ながらの酪農が行なわれています。そこで暮らす人達は、牛を飼い、手しぼりで乳を搾り、バターやチーズ、ヨーグルトなどの乳製品も素朴な道具を使い、機械に頼らずに自分たちで遣っています。
この人達にとって牛の乳は、主要な食材であり、牛は、最も大切な財産の一つなのです。
特にヨーロッパの酪農の歴史は古く、牛の家畜化や、改良などもその殆どはヨーロッパで行われてきました。又、機械化も早くから行われました。フランスやオランダなどの酪農家は、自家製のチーズを造り、販売している牧場も数多くあります。
アメリカやカナダでは、大規模な牧場が多く、一つの牧場で何万頭もの牛を飼う牧場もあります。こうした牧場では、乳製品を作ることはなく、乳製品メーカーの工場で加工されます。
今でこそ、私たち日本人はチーズやバター、ヨーグルトなどを日常的に食べますが、明治や、大正時代、昭和初期においては牛乳はしのまま飲むものか、お菓子やコンデンスミルクなどの材料と考えていました。その為か、日本の牧場では乳製品を作ることもしませんでした。日本の牧場もアメリカやカナダの様に、搾った乳を乳業メーカーに売るのが一般的です。
又、アメリカやヨーロッパとの大きな違いは、北海道を除くと、日本の牧場は規模が小さく、その分、一頭、一頭の牛が、より多くの乳を出せる様に改良し、管理していることです。